創作の子どもの本
『コアラのクリスマス』
渡辺鉄太作、加藤チャコ画、福音館書店、2014年10月
コアラの森ではクリスマスが夏にやってきます。コアラさんは、のんびり木陰でうとうと。ところが、そこにサンタから手紙が。「こちらは雪荒らしで、今年はプレゼントを配りにいけません。コアラさん、あなたが代わりにプレゼントをくばってください。」コアラさんは大慌て。でも、大奮闘してサンタの代役をつとめました。
『ポッサムおちた』
渡辺鉄太作、加藤チャコ画、こどものとも年少版、2014年2月号、福音館書店
ポッサムは、昼間は木の上の家でお昼寝です。ところが寝ぼけて木から落ちてしまいます。木から落ちたポッサムは迷子に。ポッサムは、うろうろ森をさまよい歩きますが、なかなか自分のお家がみつかりません。そんなポッサムを森の動物たちが元気づけてくれます。
『やぎのアシヌーラどこいった?』
渡辺鉄太作、加藤チャコ絵、こどものとも、2011年10月号、福音館書店
スタマティスじいさんは、ものぐさじいさん。庭の草刈りがめんどうで、ヤギのアシヌーラを市場で買ってきます。アシヌーラは働きもの。やぶでも草でも食べてきれいにしてしまいます。そこへちょうど農夫が通りかかり、アシヌーラを借りて行きます。アシヌーラはいろいろな人にかり出されて、なかなか帰ってきません。さて、アシヌーラはどこいった? というおはなしです。
『りんごろうくんのもりあるき』
渡辺鉄太作、中川画太画、アリス館、25x23cm、1400円
ISBN978-4-7520-0415-8、2008年
オーストラリアの森、ダンデノン山を息子の鈴吾郎(りんごろう)と歩いた思い出を絵本にしました。この絵本にあるように、鈴吾郎は、父親と森を歩いていきながら、ユーカリの大木、鳥やワラビーといった動物たちの暮らす世界を発見し、その世界に自分も生きていることを感じとりました。(「ウォーキング・ウイズ・リンゴ」参照)
『もりのびょういん』
渡辺鉄太作、加藤チャコ画、福音館書店、31x22cm、1300円
ISBN978-4-8340-2284-1、2007年
メルボルンの西にブラックウッドという広大な森があります。子どもたちが小さい頃、この森で週末を過ごすことが私の家族の楽しみでした。散歩しながら子どもたちといろいろなお話をしました。この絵本は、そんな思い出から生まれた物語です。
翻訳の子どもの本
『としょかんねずみ5 すてきなわがや』
ダニエル・カーク作、わたなべてつた訳、瑞雲舎、2015年9月
サムとサラは図書館に住むネズミです。ふたりは冒険が大好きですが、やっぱり図書館の我が家が一番好きでした。ところがある日、図書館で改築が始まり、二人は住み慣れた家を出なくてはならなくなりました。さあ、大変なことになりました。それから二人の家探しが始まりました!
「としょかんねずみ」シリーズ第五巻で最終作は建築がテーマ。世界中の家が登場する、とても楽しい締めくくりの作品になりました。
Winter's Book
Cameron White (text), Chaco Kato (illustration), Tetsuta Watanabe (Japanese translation) , Sandwich Press, Melbourne Australia, November 2014
『ウインターのほん』
キャメロン・ホワイト作、加藤チャコ画、渡辺鉄太訳、サンドイッチプレス(メルボルン)、2014年11月
ウィンターのお父さんは、動物の本を書くので日本に行きます。ウィンターはハムスターのハムレットとフィズおばさんとお留守番。お父さんからは毎日連絡が届きますが、ある日、サルに襲われてお父さんからの連絡が途絶えます。ウィンターは心配になりつつも、お絵描き帳にお父さんが教えてくれた日本の珍しい動物の絵を描きます。加藤チャコのイラストがとてもユーモラスな絵本。英語と日本語のバイリンガル絵本です。
『としょかんねずみ4 はくぶつかんのひみつ』
ダニエル・カーク作、わたなべてつた訳、瑞雲舎、2014年11月
サムとサラは、図書館に住むネズミですが、ある日図書館を飛び出して、隣の博物館を探険します。そこで不思議なものを発見し、探険日記に書き込んで行きました。そして、思いがけない友達にめぐりあいました。
『としょかんねずみ3 サムとサラのせかいたんけん』
ダニエル・カーク絵と文、渡辺鉄太訳
としょかんねずみの三巻目。サムは図書館に住むネズミですが、あまり遠くは出かけたことがありませんでした。あるとき、サムはサラというねずみと友達になります。サラは今までサムがであった事のないような探検家でした。そのサラに誘われて、サムは世界探検に出かけることになりました。
『としょかんねずみ2 ひみつのともだち』
ダニエル・カーク絵と文、渡辺鉄太訳
図書館に住む作家ねずみサムの物語の続編。サムの本は図書館に来る子どもたちに大人気。ところが、恥ずかしがり屋のサムは人前に姿をみせません。ところが、ひょんなことから男の子のトムと絵本の共作をすることになります。さあ、どうやって2人は絵本を共作するのか? サムとトムとの友情物語です。
『まきばののうふ』
イルセプルーム画、わたなべてつた訳、福音館書店
16x26cm, ISBN978-4-8340-2646-7 ¥1100
歌いながら遊ぶわらべうたとして、日本でも「たんぼの中の一軒家」で知られるアメリカ民謡が、コールデコット・オナー賞画家の手で絵本になりました。子どもと一緒に歌って楽しい、遊んで嬉しい絵本です。ペンシルバニアダッチ様式の美しい挿絵も楽しめます。
『としょかんねずみ』
ダニエル・カーク絵と文、わたなべてつた訳、瑞雲舎
22x27cm, ISBN978-4-916016-94-2 ¥1600
本を読むのが大好きな図書館に住むねずみ、サム。 サムの頭の中はお話のことでいっぱい! とうとう、自分で本を書くことにしました。 本を読むこと、書くことの楽しさを教えてくれるサムのおはなし。この本を読めば、読書や図書館が大好きになることうけあいです。
(2012年中に続編の出版予定。)
『ベンジーとはずがしがりやのフィフィ』
マーガレット・ブロイ・グレアム作と画、渡辺鉄太訳、アリス館、28x20cm、1400円
ISBN4-7520-0340-6 C8797、2006年
『どろんこハリー』の画家、グレアムが書いた絵本です。フィフィは恥ずかしがりやのプードル。フィフィはコンテストに参加しますが、怖がって逃げ出し、迷子になります。それを勇敢な犬のベンジーが救い出します。そして二人は大の仲良しになります。
『ベンジーとおうむのティリー』
マーガレット・ブロイ・グレアム作と画、渡辺鉄太訳、アリス館、28x20cm、1400円
ISBN4-7520-0339-2 C8797、2006年
「ベンジーシリーズ」の一冊。本作では、犬のベンジーがオウムのティリーを救い出します。もとはと言えば、ベンジーのいたずらでティリーは災難にあうのですが。犬とオウムの友情を描いたグレアムの力作です。
『ベンジーのいぬごや』
マーガレット・ブロイ・グレアム作と画、渡辺鉄太訳、アリス館、28x20cm、1400円
ISBN4-7520-0347-3 C8797、2006年
ベンジーは、お父さんの作ってくれた犬小屋が好きではありません。そこで家出をし、夜だけパン屋さんの仕事場に泊まるようになります。ところが、ベンジーを大変な災難が待ち受けていました!
『陽気なロジャーと海賊アブダルとなかまたち』
コリン・マクノートン作と画、渡辺鉄太訳、童話館、26.8x26.7cm、1429円
ISBN4-924938-56-4 C8797、1996年
「陽気なロジャー」は、憂うつな少年。ひょんなことで海賊船に乗ることになります。そこでは、生き別れになっていたお父さんと再会します。細かいイラストや文字の書きこみが楽しい海賊絵本の決定版。
『クマと仙人』
ジョン・ヨーマン作、クェンティン・ブレーク画、渡辺茂男、渡辺鉄太共訳
のら書店、22cm、1200円
ISBN4-931129-37-4 C8097、1991年
仙人は、できの悪いクマを弟子にむかえて四苦八苦。クマも、ドジをふみつつ仙人の教えをいっしょうけんめい学びます。そして、ついに仙人の教室を卒業。ユーモアたっぷりのイギリス童話。訳者の私も、どこかこの仙人みたいな父渡辺茂男に文章を直されながら、四苦八苦でこの本を訳したのでした。
絵本DVD翻訳(日本語から英語)
『たろうのおでかけ』
(村山桂子著、堀内誠一画)、渡辺鉄太とマーティン・フレンチ共訳
トライネットエンタテイメント、2005年
『たろうのともだち』
(村山桂子著、堀内誠一画)、渡辺鉄太とマーティン・フレンチ共訳
トライネットエンタテイメント、2005年
ことばと文化について
『緑の森のバイリンガル:多言語多文化社会での子育て、オーストラリアでの実践』
渡辺鉄太著、加藤チャコ挿絵、三修社、1700円
ISBN4-384-04070-9、2005年
オーストラリアでの子育て、日本語児童文庫活動、それから、ことばと文化についての研究がこの本を書く動機となりました。複数の文化や言語にまたがって、しなやかに生きる子どもたちは、都会だけでなく、森の中にも暮らしています。オーストラリアで盛んなシュタイナー教育についても触れました。巻末には、『母の友』に連載した子育てエッセー「朝はダダが好き」を全文再録。
『微妙なニュアンス 伝える英語』
渡辺鉄太著、加藤チャコ挿絵、三修社 1980円
ISBN4-384-05123-9、2003年
高校や大学で英語を勉強したもの、最近はどうも錆び付いてしまったという人にも、これから英語力をアップさせたい人にも最適です。さまざまな場面での会話表現、類似の表現もたくさん紹介しました。いろいろな表現をただ羅列するのでなく、丁寧に説明を加えた、実用的で読んでも面白いテキストです。
単行本の付記、序文
「文庫本版のための付記」渡辺鉄太執筆、『心に緑の種をまく:絵本の楽しみ』
渡辺茂男著、新潮文庫
ISBN978-4-10-131171-5、2007年
この本は、父渡辺茂男が1997年前に出した同名の単行本を文庫版に改めたものです。父はこの本を増補する予定でしたが、願いかなわず2006年に他界しました。せめてもと、私が付記を書き足しました。この本は、父の子どもの本に対する思いを書き込んだ本ですが、私にとっても、子ども時代の読書や、父の思い出が詰まっている大切な本です。
「序にかえて」、『心の扉をひらく本との出会い』
笹倉剛著、北大路書房
ISBN4-7628-2276-0、2002年
読書離れが著しい現代は、読書の意義が根幹から問われる時代でもあります。子どもは読書から知識を得るだけでなく、創造性を養います。子どもがファンタジーの世界を想像し、そこに遊ぶことには、実は人類の存亡ですらかかっているのです。そのことを私は、この笹倉さんの本の序文に書きました。
エッセイ、雑誌記事など(主要なものだけ)
「山火事、パン屋、コアラに憲法」 雑誌「クーヨン」、クレヨンハウス、2009年9月
「父、渡辺茂男が遺したもの」 JBBY日本国際児童図書評議会会報No.100, 2007年6月
連載「オーストラリアの子どもの本」 日豪プレス、2007年8月から2008年7月
連載「もりのなか」 日豪プレス、2006年8月から2007年6月
連載「メルボルンこども文庫の12ヶ月」 日豪プレス、2005年7月から2006年6月
連載「ウォーキング・ウイズ・リンゴ」 「母の友」(福音館書店刊の月刊雑誌)2005年4月から2006年3月
「絵本の力:絵本はふるさと」 「母の友」2002年9月
「絵本の力:太古の記憶とマジカルワールド」 「母の友」2002年8月
「絵本の力:お話の聞こえてくる洞窟」 「母の友」2002年7月
「父の友:オーストラリアでの田舎暮らし」 「母の友」2001年6月
「父の友:二つのシュタイナー学校に参加して」 「母の友」2001年5月
「父の友:母語があるなら父語だってある」 「母の友」2001年4月
連載「朝はダダが好き」 「母の友」1996年4月から2000年3月まで(『緑の森のバイリンガル』に全文掲載)
博士論文
Biliteracy Practices of Japanese-English Bilingual School Children in Melbourne Australia, Tetsuta Watanabe, Linguistics Program, School of Languages, Cultures and Linguistics, Monash University, Melbourne 2003
(「オーストラリア、メルボルンにおける日英バイリンガル児童のバイリテラシー行為についての社会言語学的考察」、2003年 モナシュ大学言語学プログラムに提出した博士論文)
オーストラリア、メルボルンに暮らす5才から8才までの日本語英語バイリンガル児童5人の、日英両言語を用いた読み書きの発達を、半年間の参与観察を元に記述したものです。このアプローチは、アメリカの言語学者シャーリー・ブライス・ヒースの研究からの応用です。日本語と英語は、文字も文法も背景にある識字文化も異なった言語です。その異なる二つの言語による読み書きを、どのように日常生活で実践し、双方の能力をつけてゆくのか、本研究は社会言語学的見地から質的に分析しました。(英文、10万語)